其の弐 (AM 02:19)

 昼頃の事である。チャイムが鳴り、インタフォンに出てみると、つっかえ、つっかえ
細い声で『市場調査のお願いに伺いました』と、如何にもあやしそうな声。普段決して
ドアを開けたためしがないのに、ナゼか出てみた。開口一番「インターネットしてません
か?」ますます怪しい。所が手に持った透明フォルダの中の図書券と、書類のH報堂の文
字を目ざとく発見。「..大手の広告代理店ではないか。こりゃ本物だ..」面白そうだか
ら引き受けてやろうと思ったのだが、今までよそでぜんぜん相手にされなかったのか、慣
れてないのか、一向に本題に入らない。ドア開けっぱなしで寒いし。猫が、何時出て
行こうとするかわからないし。メンドクサイので、おもわず『お互い時間の無駄だから
サインで良いの? 判子いるの?』『本当に良いんですか?』『良いよ』『でも..』『じゃ
閉めるよ』『お願いします』てな具合に、決めてしまいました。
ゆっくり内容を見ると、ちゃんとした、e-mailによる調査で、期間は1年半毎回謝礼付き
こんな話もたまにはあるんですね。